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メーカーによる理美容ハサミ(シザー)の研ぎ~研磨には、各メーカーの技術・こだわりが詰まっています メーカー紹介その1

  • 2021.03.25

理美容ハサミ(シザー)は、カットの用途に分け理美容師さん一人当たり数本所持しているのが普通です。

また1本あたりもかなり高額です。
そのような理美容ハサミ(シザー)は、長く愛用したいものです。

長く持たせるためには、毎日のセルフメンテナンスとプロの研ぎしによる定期的なメンテナンスが必要です。

今回は、メーカーによる理美容ハサミ(シザー)の研ぎ技術などをご紹介いたします。

株式会社ヒカリ

株式会社ヒカリは、理美容ハサミを作り続けて50年の老舗メーカーです。

この長さは全国の理美容師さんからの信頼を得ている証ですね。

 

すべてが手作業

 

日本刀と同じ刃を備えた理美容ハサミは、1丁1丁が熟練の職人による手作りの製品です。

使用後の研磨調整もすべて職人による手作業です。

研磨により新品同様の性能がよみがえります。

しかし、どんなに優れた道具でも使用による磨耗は避けられません。

 

株式会社ヒカリの刃付け(蛤刃)は、切れ味と結果(切断面)に現れます。

理美容ハサミにおける刃付け技術の「蛤刃」は、株式会社ヒカリの特許技術です。

 

ヒカリシザーズは20回以上の研磨に十分耐えるように設計されています(メーカー研磨の場合に限ります)。

 

長い寿命の秘密は:研磨調整→再コンベックス加工→裏スキ

POINT1 厳選された材質・焼入れのため長寿命。研磨調整を控える必要はありません。

POINT2 メーカー研磨なら、まずは研磨調整だけでご購入当初の切れ味が戻ります。

POINT3 さらに刃のおもて面を(※1)再コンベックス加工すれば、理美容ハサミはまさに新品同様によみがえります。

(※1)コンベックス加工とは、刃角度が鈍化している製品は、刃角度の鋭い蛤刃にすることです。

POINT4 研磨で切れ味が戻らなくなってきたら、(※2)「裏スキ」をご注文ください。

新品同様の切れ味に再生できます。

(※2)ハサミには少し凹んだ部分があり、それを「裏スキ」と呼んでいます。

裏スキとひねりが失われている製品は再研磨しても切れません。そんな時は刃裏をすいて切れ味をよみがえらせます。

裏スキの良いハサミは、力強さがあり、開閉がしやすい。長切れもします。

これは機械だと精度良く作れないことが多いです。

 

使命感

 

高い技術力だけで成り立っているわけではなく、それを支える「すべての理美容師さんにいいハサミを使ってもらう」という強い使命感を抱き日々作業されています。

使命感や責任感が人を育てるため、「人の手」が財産という社訓があるそうです。

株式会社ナルトシザー

株式会社ナルトシザーも同様に、50年以上理美容ハサミを専門に作り続けてまいりました。

 

理美容ハサミを研ぐ際は、グラインダーを使い職人が手作業でバリ取りをします。

 

職人の特徴

 

現在職人は12人で、30代から60代までの幅広い年齢層が活躍しています。

在籍10年以上のベテランも多く、また左利き用の理美容ハサミ研ぎ依頼にも対応できるよう、左利きの職人も在籍しています。

 

シリアルナンバー

 

株式会社ナルトシザーの特徴は、同社で製造したすべての理美容ハサミにシリアルナンバーを刻印し、使用者ごとにカルテを作成しているということです。

修理に出されたときに、使用者のこだわりなどを把握し、スムーズに作業を進めるためです。

 

理美容師さん一人一人の癖がありますが、シリアルナンバーで管理することにより、そういった細かい情報も一目で把握できます。

 

また、このシリアルナンバーのおかげで盗難被害に遭った理美容ハサミが発見されたこともありました。

 

修理依頼本数

 

修理に送られてくる理美容ハサミは月に1,000丁~1,500丁。

そのうち海外からも1割含まれています。

新型コロナウイルスの影響で一時期海外へ出荷制限もあり、苦労されたそうです。

 

ハサミの症状の書いたメモが同梱されており、「ハサミの先は丸くしてください。」などさまざまなリクエストがあります。

 

このように、それぞれすべてこだわりが違うので、理美容ハサミの修理に決まったマニュアルはありません。

 

納期はメンテナンス到着日から2週間以内に理美容師さんへ返却することを目標にしています。

少しでも早くお返ししたいのですが、職人が丁寧に手作業するため、どうしても日数はかかります。

その代わり、ご満足いく出来栄えでお返しいたしますので、楽しみにお待ちください。

株式会社東光舎

株式会社東光舎は、大正6年創業です。

理美容ハサミ専用の工場としては、日本最大級を誇り、最新設備を備えています。

 

ハサミの研ぎ及び最終調整の技

 

ハサミは二枚の刃から成り立っているため、ナイフや包丁のように鋭利な刃先を付けることに加えて、隙間(刃先端の連なり=刃線の三次元形状が作る刃と刃との間隙)を精密に調整できない限り良い切れ味は実現できません。

 

まず、鋭利な刃先を作り上げるためには研磨による表面の加工時に発生するバリの除去が重要になります。刃先端の断面は約0.5μm(ミクロン=1000分の1ミリ)の半径の円の一部となりますが、不要なバリが残ることによって切れ味は損なわれます。

このバリを表面、裏面から交互に研磨を繰り返すことにより微小化し最終的に完全に脱落させることが重要です。

 

次に隙間の調整は、刃先と触点とを結ぶ線に対する刃先端の軌跡をハンマや矯木(ためぎ)を用いて鋏体を変形させることで行ないます。この仕上がり精度は最大値で±10μm(ミクロン)以下で、これを超えると敏感なプロの理美容師のお客様からのクレームにつながるため特に細心の注意が必要になります。

 

修理依頼本数

 

東光舎は、以上のようなハサミの研ぎ及び最終調整の技能に精通しています。修理品は、ロットで流れる製品(工程品)とは異なり一丁一丁がそれぞれの別個の状態にあります。修理品の再研磨には十分な知識と経験とが必要ですが、東光舎では、月間1,000丁前後の修理品の再研磨を行ない、お客様の信頼を得ています。

 

ハサミの手裏スキの技

 

研ぎ及び最終調整の前の工程として、裏スキ工程があります。裏スキ工程は直径200mm程度の砥石を使用して刃の裏面に刃線の三次元形状に沿った浅い溝を加工する工程で、ハサミの切れ味を左右する重要な工程です。この加工は難易度が非常に高く、製品の製造工程においては機械化されています。しかし、修理では、それぞれハサミの状態が異なるため、機械での対応は不可能です。東光舎では、この裏スキ加工を安定した状態で手作業によって行うことができる職人がおります。

 

やはり日本の職人は技術力が高いですね。
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