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日本製理美容ハサミについて

  • 2021.01.14

理美容ハサミは世界中にありますが、その中でも日本製の理美容ハサミは
「世界ナンバーワン」と言われています。

他国を圧倒するレベルで、日本の次にドイツ製が続きますが、日本製理美容ハサミの
品質の良さは比べ物になりません。

世界の理美容師の間でも、日本製の理美容ハサミは人気が高く、品質による部分は
大きいですが、日本のヘア文化が世界的に認められていることも
大きく影響しているようです。

なぜなら、日本では国家試験に受からなければ理美容師免許は取得できませんが、
海外の多くの国では「登録」や「研修」などで、理美容師になれるのです。

日本人からすると驚きですよね?そのレベルからすると、日本製の理美容ハサミが
人気なのは頷けますね。
そんな世界から注目されている「日本製理美容ハサミ」についてご紹介いたします。

刀から始まる日本のハサミの歴史

ハサミの歴史はとても古く、紀元前から存在しています。

ハサミが誕生した当初は、主に羊の毛を刈る作業に使われていたとのこと。

ただし、どの文献を見ても「誰が発明した」という記録は残っていないようです。

 

そのハサミは、中国を通して日本に伝わりました。

【日本最古のハサミは】

日本最古のハサミは、奈良県の珠城山古墳から出土した、7世紀頃に作られた

「握り鋏」(にぎりばさみ)です。

また、源頼朝の妻・北条政子のものとされる、菊の紋章入りの握り鋏が伝わっています。

 

【U字型/ローマ型】

当時のハサミは1本の鉄を折曲げて作られていて、指を入れる部分が無く、手で握るようにして使います。

『U字型/ローマ型』のハサミで「糸切りばさみ」や「和鋏」(わばさみ)とも呼ばれています。

その握り鋏は、裁縫に用いられましたが、それは貴族階級のみで、

中世までは庶民は裁断に小刀を使っていたと思われます。

 

【X字型/ギリシャ型】

『X字型/ギリシャ型』のハサミは、2本の鉄を交差させたもので、代表的なハサミが紙を切ったりする時に使う

文房具のハサミ。

花や小枝を切る時に使う「花鋏」(はなばさみ)。

いわゆる「洋ばさみ」です。

 

【日本の刀の歴史】

鎌倉時代末期、九州から関にやってきた「元重」と呼ばれる刀鍛冶が開祖だと言われています。

その後、美濃伝鍛刀技法が誕生しました。

江戸時代になり、刀の需要が減少すると、小刀・包丁・薄刃・剃刀・ハサミなどの

実用刃物が中心になっていきました。

 

【日本人向けに改良】

このハサミを日本人向けに改良したのが、刀鍛冶職人だった吉田弥十郎です。

12歳から刀鍛冶の修業を始めますが、廃刀令(刀を身に付けることを禁じる令)で刀の需要はストップ。

そこで弥十郎は刀鍛冶の技法を生かし、羅紗切り鋏を参考に独自の裁ち鋏を完成させたのです。

日本刀は、決して壊れず、曲がらない、そして鋭い刃を持つことで有名です。

その断面を見てみると、中央には柔らかい鋼、そしてその周りを固い鋼が囲んでいます。

日本人が、時代や用途に応じたハサミを製造できたのは、

やはり刀鍛冶・刀づくりの技術があったからだと言えますね。

外国のアーティストにも高い人気を誇る日本製ハサミ

刀鍛冶たちが作り始めた理美容ハサミは、歴史を重ねながら進化を続け、世界50ヶ国で一流の美容師たちに

愛用されています。

切れ味だけでなく扱いやすいデザインも美容師に好まれる理由です。

現在でも、刀匠の技を使って作られるため、頑丈で切れ味が良いのです。

 

【ブランドが豊富】

理美容ハサミは、ブランドごとに違った特徴があり、形や切れ味、使い心地も異なります。

合わない道具を使っていると、パフォーマンスの低下にもつながりますし、腱鞘炎にもなりやすくなります。

 

【目的】

理美容ハサミ選びをするのに一番重要なのは、その理美容ハサミを使う用途、目的を決めることです。

●ベースカットに使用する

●メンズの刈り上げ

●レイヤーカットなど

では大きく違いますよね。

 

【改善】

次に決めるのは、今お使いの理美容ハサミで改善したいポイントです。

●重量が重い

●握った時のフィット感が足りない

●切りにくいなど

それらが明確になれば、自然と求める理美容ハサミの条件が絞れるはずです。

 

【日本製ハサミが選ばれる理由】

欧米にもハサミメーカーはありますが、日本人をはじめとするアジア人の黒髪は欧米人に比べて硬くて太く、

ハサミへの負担が大きいのです。

そのため、黒髪のお客様にも対応できる日本製ハサミを求められます。

 

【職人のこだわり】

日本人は、もともと手先が器用と言われています。

遠い国から伝わったハサミを生真面目な職人が切れ味などを追求し、改良しました。

輸入したものを発展させるのは、自前で生み出したものを発展させることほど容易ではありません。

物真似ではなく、再発明をしているのです。

とある職人は、「量産品のはさみに理美容師が合わせるのではなく、理美容師に合わせるのが

モノづくりの基本」をモットーとしているそうです。

 

この志の高さも、日本人ならではという気がしますね。

日本製ハサミの素材

ハサミの品質を決める要素は主に3つです。

使われている「素材」と「ハンドルの形」、「職人の技術」の3つですが、その中でもっとも

分かりにくいのが「素材」です。

 

■ステンレス鋼

ステンレス鋼はサビにくい素材なので、多くの理美容師がステンレス鋼のハサミを使っています。

また長年の使用されてきた歴史がある為、職人にとっても刃付けがしやすく切れ味を出しやすい鋼材です。

他の素材のハサミよりもリーズナブルで手に入れやすいので、初心者の方にもオススメです。

 

■コバルト系ステンレス鋼

耐食性と耐磨耗性に優れたコバルトという素材を混ぜたステンレス鋼は、普通のステンレス鋼

よりも耐食性と耐磨耗性が向上して長く使えます。

 

■ステライト(コバルト合金鋼)

ステライト®(Stellite®)はコバルトを主成分としクロム、タングステンなどからなる合金で、

デロロステライトグループ(Deloro Stellite Group)の商標です。

耐食性と耐摩耗性に優れたコバルトに加えて、強い素材のタングステンという素材を含んでいるので、

刃こぼれしにくく長く使うことができます。

 

■ハイス鋼(高速度鋼)

ハイス鋼は「ハイスピード鋼」からきており、高速度鋼の事をさします。

古くから金属を削りだす高速切削加工に使われるぐらい強度が高い鋼材です。

また、「粉末微粒子鋼」と呼ばれることもある粉末ハイス鋼は、粉末冶金で製造するため不純物が少なく、

摩耗に強い素材です。

 

■ダマスカス鋼

素材から自然に模様が浮き出る鋼材をダマスカス鋼と呼びます。

ダマスカス鋼にも2種類あり、粉末冶金で作られた鋼材。

そして日本刀等同じように重ね合わせで作られた鋼材があります。

折れず曲がらず日本刀と同じように硬いステンレス鋼の上に軟らかいステンレス鋼を重ね合わせているので、

独特な切れ味と強度を持っています。

この素材は長く使えるだけではなく、デザイン性のある波のような模様も魅力のひとつです。

 

現在、最も耐久性が高いと言われているダマスカス。

この素材は長く使えるだけではなく、デザイン性のある波のような模様も魅力のひとつです。

 

日本は、ハサミを研ぐ技術も優れています。

週に1回はお手入れをして、長く愛用したいですね。
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